住吉大社・末社「楠珺社」【初辰まいり巡拝社】
住吉大社の末社の1つである楠珺社(なんくんしゃ)は初辰まいりでも中心的な神社です。
樹齢数百年を超える楠(くすのき)がシンボルとなっていて、江戸時代より楠の神秘的な力に魅了されてきました。
読み方
- なんくんしゃ
「珺」は珍しい字ですが、美しい玉という意味です。
創建年
- 詳しい創建年は不明
再建年
- 1956年(昭和31年)
式年遷宮が行われるのは本宮のみなので、楠珺社に関して式年遷宮は行いません。
建築様式(造り)
- 木造平屋、入母屋造・平入、正面向唐破風付き向拝
屋根の造り・素材
- 銅板葺
大きさ
- 建築面積:108㎡
畳にすると65畳くらいの大きさです。
御祭神
- 宇迦魂命(ウガノミタマノミコト)
例祭日
- 5月の初辰日
住吉大社「楠珺社」の歴史(由来)と御祭神・ご利益
初辰まいりの2番目参りをする神社で、「はったつさん」と古くから親しまれています。
楠珺社の歴史や御祭神、ご利益をご紹介します。
楠珺社の歴史(由来)
楠珺社の歴史は定かではありませんが、江戸時代には既に大楠が存在し、崇敬を受けていたとされています。
楠珺社の御祭神・ご利益
初辰まいりの2番目参りをする神社で、「はったつさん」と呼ばれる楠珺社。
御祭神宇迦魂命は『古事記』では宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)ですが、この神様は『日本書紀』では倉稲魂命(ウケノミタマノミコト)と呼ばれており、初辰まいりで最初に参拝する種貸社と同じ神様ということになります。
お稲荷様として信仰されている神様なので、キツネの像も鎮座しています。
ご神徳は商売繁盛、家内安全、諸願成就など多岐にわたります。
宇迦魂命を祀る稲荷神社は全国に3万とも言われ、日本で最も多く分祀されている神様です。
名前にある「ウカ」や「ウケ」という言葉には、「穀物・食物」という意味があり、元々は農耕や五穀豊穣の神様であり、商工業の神様としても信仰されています。
住吉大社「初辰まいり」とは
毎月最初の「辰の日」に参拝する「初辰(はったつ)まいり」。
楠珺社は、種貸社に次いで、2番目にお参りすると良いとされています。「初の辰」は「発達」と重ねられます。
「願いの発達」を意味するとして、最大限のご利益を得られる日とされる縁起の良い日です。
種貸社で種を貰い、楠珺社で実らせ、大歳社で収穫するという一連の季節の流れを祈願することで、大きく発達、実り、願いを叶えるというものです。
住吉大社「楠珺社」の縁起物「招福猫」とは?招き猫とは違う?
楠珺社の初辰まいりの日に授かることが出来るのが、猫を模した土人形「招福猫」です。
では、どんな意味があって、どのようなご利益があるのでしょうか?
招福猫の意味・ご利益
福が授かると言われる招福猫は、奇数月は人を招く左手、偶数月にはお金を招く右手を挙げた子猫を毎月集め、これを48カ月間(4年間)続け48体が揃うと「始終発達=四十八辰」として満願成就の証となります。
そして、集めた48体を楠珺社に納めるとひと回り大きな招福猫と交換してもらうことが出来ます。
さらに大きな大猫をそろえるには、最短で24年かかるというので驚きです。大きくなった猫に、今後の繁栄を祈願するのです。
招福猫はいつ・どこで拝受(購入)できる?初穂料(値段)は?
見た目にも可愛い招福猫はいつ・どこで拝受(購入)出来るのでしょうか?
詳しくご紹介します。
招福猫の授与日
- 毎日
初辰の日に授かると良いとされる招福猫ですが、招福猫自体はいつでも授与して頂けます。
招福猫の授与場所
- 楠珺社内の授与所
招福猫の初穂料(値段)
- 1体500円
楠珺社の臨時授与所
楠珺社の向かって左隣の建物は、初詣の期間などのための臨時の授与所です。
住吉大社「楠珺社」のその他のお守り・御朱印
楠珺社の招福猫以外のお守りや御朱印に関してご紹介します。
お守り
楠珺社では先ほどご紹介した招福猫の他、沢山の種類のお守りを授かることが出来ます。
以下では、その一例をご紹介します。
- 楠珺社木札(商売繁盛)
- 発達守(商売発達・家内安全)
- ご神木木札守(健康長寿)
- 始終発達守(運気上昇)
- 商売発達守(商売発達・開運招福)
- 神巳守(金運上昇)
- 楠珺社身代守(開運招福・除災)
- 福猫御守(開運招福)
御朱印
楠珺社の御朱印には招福猫のスタンプが押されています。
毎日授与されており、初穂料は500円です。
ちなみに、ご祈祷料は1500円で、神職が奉仕してくださいます。
※御朱印は楠珺社で授与されていますが、初辰まいりの日のみ、授与所が「本社前御朱印所(御垣外)」になります。初辰まいりの日の御朱印は、書置きのものとなっています。
住吉大社「楠珺社」の特徴・見どころ
では、住吉大社の末社である楠珺社の特徴や見どころを見てみましょう。
社殿
建造物登録有形文化財に指定されている楠珺社。
現在の建物は1956年(昭和31年)に建造されました。
木造平屋造りで、切妻造平入の前面に入母屋造妻入りを接続したT字形の屋根をかけ、正面に向唐破風の向拝をつけ、背面に祭壇が突出しています。
内部は土間の参拝空間で祭壇は床張りとなっています。
参拝の多様化に応じた大規模社殿とも言えます。
招福猫納所
招福猫納所には交換の為に戻ってきた猫たちが沢山座っています。
授かるのに最短で24年かかる招福猫の大猫をここで見ることが出来ます。
御神木
名前に楠の字が入っているように、楠珺社の社殿付近では、大きな2本の木が目を惹きます。
「夫婦楠」
楠珺社には2本のご神木があります。
1本目の「夫婦楠」は楠珺社社殿の鳥居前に立っていて、幹周7.9m、樹高19.5m、樹齢約800年。
大阪市の保存樹に指定されています。
名前のとおり、幹が根本付近で2本に分かれ、2本の幹が夫婦のように寄り添っているのが特徴です。
この夫婦楠には、霊力のある白蛇さんが住んでいます。
年に1、2度姿を現すこともあるそうなので、会えたらとてもラッキーですよね。
この白蛇が書かれたお守りも販売されています。
「千年楠」
もう1本、社殿裏に立つ楠珺社のご神木である楠は「千年楠」と呼ばれ、幹周9.8m、樹高18.5m、樹齢約1000年とされています。
夫婦楠と共に、楠珺社のシンボルになっている大木です。
住吉大社「楠珺社」の場所
画像引用元:住吉大社
住吉大社境内の西側、鳥居をくぐり、第4本宮、第3本宮、第2本宮と進み、第1本宮の裏手にあるのが楠珺社です。
大きな楠が目印となってくれることでしょう。また、「初辰まいり」と書かれた赤いのぼりが沢山立っているので、すぐにわかります。
関連記事一覧
関連記事: