【限定御朱印あり】住吉大社(大阪)の初辰まいりとは?「日程・御朱印・ご利益・回り方(参拝方法)・混雑状況など」
住吉大社では、月に一度、「初辰まいり」が行われます。
この日には早朝から多くの人が訪れ、境内が賑わいます。
大阪府内にとどまらず、関西各地、中には北陸や関東、中国地方からも足を運ぶ熱心な方も多い初辰まいりですが、どこをどのようにお参りすれば良いのでしょうか?
初辰まいりの目的、ご利益、参拝の順番や方法、限定御朱印や授与品などを、詳しくご紹介します!
初辰まいりとは?
<日程>初辰まいりの日はいつ?
まず、「初辰(はつたつ)」とは、毎月最初の「辰の日」のことです。
辰の日が何月何日になるかは年によって違うため、カレンダーや住吉大社のホームページなどでご確認ください。
ちなみに2021年の初辰の日は以下の通りです!
初辰の日にお参りできない場合は、その月の2番目、3番目の辰の日(二の辰の日、三の辰の日)にお参りすることが推奨されています。
ただし、種貸社と大歳社で祈祷が受けられたり、稲種を稲穂に交換できたりするのは、初辰の日のみとなっています。
なお、初辰まいりは、「月参り」と言って、毎月参拝し、祈祷を受けるのが良いとされています。
※初辰日が初詣期間と重なる場合、初辰まいりの日が1月の二の辰の日になる場合があります。
最新情報は、住吉大社のホームページでご確認ください。
<目的>初辰まいりをする目的・祈願内容は?
住吉大社では、この初辰の日に定められた4つの末社に参拝して、商売や家庭の発達・繁栄(商売繁盛・家内安全など)を祈願すると、より一層力を与えていただけ、また、より強くご加護をいただけると考えられています。
毎月1回、1年で12回初辰まいりをすると、4年で48回。
初辰まいりは、この「48回」で一区切りで、晴れて「満願成就」となります。
48回という回数は、「四十八辰(しじゅうはったつ)」であり、そこには「始終発達」という意味が込められています。
毎年5月の楠珺社の例祭「初辰大祭」では、4年間、毎月お参り・祈祷して満願成就した方に「満願札」という特別なお札が授与されます。
初辰まいりの起源・歴史
初辰まいりの起源については、実はよくわかっていません。
初辰まいりで巡る末社4社についても、いずれも創立年は定かではなく、どのようにして祀られるようになったかもわかっていません。
初辰まいりの中心は、「はつたつさん」と呼ばれる楠珺社です。(詳細は後述)
楠珺社への信仰と、他に商売と関係があるお社への信仰が結びつき、巡拝という習慣が出来上がっていったのでしょう。
なお、初辰まいりで巡拝する4社のうち、種貸社、楠珺社、大歳社の御祭神は、もともとは、農業や五穀豊穣に関するご利益(ご神徳)のある神様です。
それが、大阪の商人の町という土地柄、農業神としての信仰が、徐々に商業・商売・金運の神としての信仰に変化していったようです。
稲の苗が育って実り、収穫するという1年の流れを、資金を調達して運用し、回収するお金の流れに置き換えた信仰は大阪の人々の中に浸透し、現在のような初辰まいりが出来上がっていったものと考えられます。
初辰まいりの限定御朱印(授与場所・授与時間)
初辰まいりの日は、通常授与されている3種類に加え、初辰まいりの巡拝社である種貸社・浅澤社・大歳社の御朱印も授与されます。
ただし、御朱印の授与所は初辰まいり各社ではなく、第三本宮前の門を出て右側(玉垣外)の、祈祷殿の窓口(通常の御朱印所と同じ)となっています。
4枚まとめて拝受できます。できれば、お参りを終えてから御朱印所を訪れてください。
- 授与場所:本宮前御朱印受付
- 授与時間:9時~16時
※通常の授与時間よりも1時間短くなっています - 初穂料(値段):1枚につき500円

※楠珺社の御朱印は毎日授与されています。通常、楠珺社の御朱印は楠珺社にて授与されていますが、初辰まいりの日には他の3社の御朱印と同じく、本宮前の御朱印所で授与されます。
※初辰まいりの日の御朱印は、「書置き」のものとなっています。
初辰まいりで巡るのはどこ? 4社の場所と「ご利益・意味」など
初辰まいりでは、住吉大社の末社4社を順番に巡ります。
その4社とは、以下の通りです。
なお、初辰まいりの目的を果たすために本来参拝が必要なのはこのうちの浅澤社を除く3社で、初辰まいりは「三社まいり」または「みのりまいり」とも呼ばれています。
ただし、住吉大社境内から、境外の大歳社へ向かう前に通過する浅澤社にも詣でる習わしとなっています。
初辰まいり案内図(4社の場所)
画像引用元:住吉大社
こちらの地図に記されているように、初辰まいりでは、本宮に向かって左奥にある種貸社から始め、楠珺社に参拝し、その後境内を出て浅澤社・大歳社を巡ります。
初辰まいり4社のご利益・意味・受付時間など
①種貸社(たねかししゃ)
ご利益
- 資金調達
- 子宝・知恵
御祭神
- 倉稲魂命(うがのみたまのみこと)
初辰まいり受付時間
- 6時~15時30分
初辰まいり祈祷料
- 1,100円
※子宝祈願は1,000円。初めての子宝祈願の場合、種貸人形などのセットの授与品を含む3,000円の御祈祷の案内があります。
※種貸社で御祈祷を受けられるのは初辰日のみです。
初辰まいり(みのりまいり)における意味
- 商売の元手・願いの元(種)を授かる
種貸社の歴史(由来)、御祭神、ご利益、授与品などについて詳しくは、当サイト住吉大社・末社「種貸社」【初辰まいり巡拝社】でご紹介しています!
②楠珺社(なんくんしゃ)
ご利益
- 商売発達
- 家内安全
御祭神
- 宇迦魂命(うがのみたまのみこと)
初辰まいり受付時間
- 6時~15時45分
初辰まいり祈祷料
- 1,500円
初辰まいり(みのりまいり)における意味
- 商売・願いの「発達」「みのり」
楠珺社の歴史(由来)、御祭神、ご利益、授与品などについて詳しくは、当サイト住吉大社・末社「楠珺社」【初辰まいり巡拝社】でご紹介しています!
③浅澤社(あさざわしゃ)
ご利益
- 芸能上達
- 女性守護
御祭神
- 市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
初辰まいり受付時間
- 6時~16時
初辰まいり祈祷料
- 浅澤社の御祈祷は、大歳社で受け付けています
初辰まいりにおける意味
- 商売に必要な機転や愛想を授かる
浅澤社の歴史(由来)、御祭神、ご利益、授与品などについて詳しくは、当サイト住吉大社・末社「浅澤社」【初辰まいり巡拝社】でご紹介しています!
④大歳社(おおとししゃ)
ご利益
- 集金満足
- 心願成就
御祭神
- 大歳神(おおとしのかみ)
初辰まいり受付時間
- 6時から16時
初辰まいり祈祷料
- 1,000円
※大歳社で御祈祷を受けられるのは初辰日のみです。
初辰まいり(みのりまいり)における意味
- 増やしたお金の「回収(集金)」、願いの「成就(収穫)」
大歳社の歴史(由来)、御祭神、ご利益、授与品などについて詳しくは、当サイト住吉大社・末社「大歳社」【初辰まいり巡拝社】でご紹介しています!
以上のように、初辰まいりは、種貸社で願いの元(種)を受け取り、楠珺社で商売や家庭の発達・繁栄を祈願し、最後の大歳社にて、神々のご加護により実ったものを無事に回収できるようにお願いするという、ある意味、非常に理にかなった、システマチックな流れに整えられています。
商売繁盛祈願であれば、資金調達から運用、回収(集金)のサイクルであり、ご家庭の繁栄や心願成就祈願であれば、小さな願いを自らの努力や神のお力添えによって育て、成就させるイメージです。
その資金や願いの象徴として、最初に「稲種(籾種)」を授かり、「稲穂」と交換し、さらに稲穂を「御神米」と交換することになっています。
初辰まいりの御祈祷はどこで受ける?
初辰まいりの御祈祷は、種貸社・楠珺社・大歳社で受けられます。
それぞれご利益(御祈祷の願意)が異なるため、参拝する方が、願い事に合わせて、いずれか1社で祈祷を受けても、3社で受けても良いことになっています。
種貸社と大歳社で御祈祷していただけるのは、初辰日のみとなっています。
通常、住吉大社で受け付けている本宮(本殿)、あるいは楠珺社での御祈祷は、内容に応じて5,000円~10,000円ほどかかりますが、初辰日の御祈祷は集団祈祷なので、祈祷料がお安くなっています。
初辰まいりの御祈祷は、必ず受けなければならないものではありませんが、この機会に、ぜひ、お受けになってみてください。
初辰まいりで「稲種(籾種)」「稲穂」「御神米」を手に入れる方法(順番と場所)
ご紹介した通り、初辰まいりでは、最初に稲種(籾種)を授かり、それを稲穂にして、最終的に米を授かるという象徴的な行為を通して、商売や家庭の発達、つまり、商売繁盛や家内安全を祈願します。
この、稲種を交換しながら行う3社参りを、「みのりまいり」と呼びます。
以下では、稲種(籾種)をどこでどのように授かり、稲穂・米に交換していくのかを、詳しくご紹介します。
稲種(籾種)の交換は、以下の順番で行います。
1.種貸社で稲種(籾種)を授かる
2.楠珺社で稲種(籾種)を稲穂と交換する
※大歳社でも交換できます
3.大歳社で稲穂と御神米を交換する
①種貸社で稲種(籾種)を授かる
初辰の日当日、まずは種貸社へ向かいます。
種貸社では、以下の手順で稲種を受け取ります。
1.祈祷を申し込む
境内に入ると、向かって左側に祈祷申込の受付があります。
受付前にある申込用紙に必要事項を記入し、祈祷を申し込みます。
※商売繁盛・家内安全祈願は1,100円、子宝・安産祈願は1,000円です。

初辰まいりが初めての方、および、3回目以内の方は、左側の列に並ぶよう案内があります。
窓口にたどり着いたら申込用紙を手渡し、稲種引換券と神饌、御種銭、稲種を受け取ります。
ここでいただいた稲種引換券は、次回の初辰まいりで使います。
次回、初辰まいりにお出かけの際は、種貸社で祈祷の申し込みをしなくても、この引換券を渡すことで、稲種がいただけます。
また、楠珺社・大歳社での祈祷でも、同じように稲種引換券を渡されます。
引換券は、1回の祈祷につき、1枚配布されます。

2.社殿内部へ
社殿内部の担当の方に祈祷申込用紙を渡します。
すると、今回の祈祷に参加できるか、次回になるかを案内されます。
3.御祈祷を受ける
初辰まいりの御祈祷は集団祈祷で、所要時間は10分程度です。
祈祷が終わったら、種貸社を出て、楠珺社に向かいます。
種貸社で御祈祷を受けずに稲種を授かる方法
種貸社で御祈祷を受けずに稲種だけを授かりたい場合は、その旨お伝えして、初穂料800円をお納めします。
②楠珺社で稲種(籾種)を稲穂と交換する
二番まいりの楠珺社では、稲種を稲穂と交換します。
社殿前に「初辰日みのりまいり交換所」という案内のあるブースがでており、用意されている箱に先ほど種貸社でいただいた稲種を入れ、代わりに隣に積んである稲穂を一束いただきます。
この稲種と稲穂の交換には、申込みは必要なく、楠珺社でお祈祷も、受けても受けなくても問題ありません。
※稲種から稲穂への交換は、大歳社でもできます※

③大歳社で稲穂と御神米を交換する
楠珺社で稲穂をいただいたら、それを持って、境外にある大歳社へ向かいます。
(途中で浅澤社にお参りすることが推奨されていますが、浅澤社は「みのりまいり」の稲穂とは関係ありません。)
大歳社でも、社殿前に初辰まいりの祈祷受付と「みのりまいり交換所」が設置されています。
みのりまいり交換所で稲穂を差し出すと、住吉大社の御田(おんだ)で収穫された「御神米」をいただけます。
御神米は、「一粒万倍日」にご飯に混ぜて炊いて食べると、ご利益があると言われています。
一粒万倍日とは
種貸社の境内では、一粒万倍(いちりゅうまんばい)という言葉をよく見かけます。
一粒万倍とは、一粒の籾(もみ)が、万倍にも増えて実る稲穂になるという意味です。
一粒万倍日は、お金や幸福を「増やす」ための始まりの日であり、物事を始めるのに良い日と言われ、特に、仕事始めや、開業、銀行の口座開設、財布や宝くじの購入など、「支出」にまつわることに良い日とされています。
また、その名の由来の通り、種まきにも向いています。
ただし、一般的に、お金や物の貸し借りをすると、苦労が増える日と考えられています。
一粒万倍日とは、暦の上でその日の吉凶を占う「選日(せんじつ)」の1つで、干支によって、1か月に5、6日めぐってきます。
「丑の日」「寅の日」など、干支にちなんで決められているので、何月何日が一粒万倍日になるかは年によって異なりますから、インターネットの開運日カレンダーなどを参照してください。
住吉大社の授与所で購入できる「住吉暦」でも確認できます。

初辰まいり4社の参拝方法(御祈祷・特別な授与品など)
以上、初辰まいりで「稲種」を「稲穂」、そして「御神米」にする方法をご紹介しましたが、初辰まいりはこれだけでは終わりません。
続いては、既にご紹介した、初辰まいりで参拝する4社で、他には何ができるのか、何を授かれるのかなどを、順番にご紹介します。
あなたの祈願内容に合わせたお参り方法を見つけてくださいね。
「初辰まいり」一番まいり:種貸社と「種貸人形」
種貸社の子宝祈願
初辰まいりでは、資金調達・商売繁盛、または家内安全のご利益が協調されますが、物事の「元」を司る種貸社は、「子宝」のご利益があるとして信仰されるお社でもあります。
種貸社では、初辰日に限り、社殿での祈祷を受け付けており、「子宝祈願」の御祈祷(集団祈祷)を申し込むことができます。
申込書に「願意」を選ぶ欄がありますので、子宝を選択してお申し込みください。(他に、安産祈願も可能です。)
社頭は種貸人形・御守・絵馬のセット「子宝祈願」(2,000円)が授与されていますが、前述の通り、初めての子宝祈願の場合は、「子宝祈願」のセットと御祈祷込みで、初穂料3,000円のプランがおすすめです。
申込みの際にご相談ください。

種貸人形については、当サイト住吉大社・末社「種貸社」【初辰まいり巡拝社】で詳しくご紹介しています。
種貸社の榊の小枝・葉
初辰の日に種貸社に行くと、境内の向かって右側に、榊(さかき)の小枝の授与所ができています。
榊の小枝は1本200円で授与されています。
拝受した小枝は、ご自宅の神棚に祀ります。

また、新芽が付いた葉を1枚切り取り、授与所に置いてある小さな紙袋や、自分で用意した巾着袋、財布などに入れたものを、お守りにします。

1年中青々と茂る常緑樹の榊は、生命力の象徴であり、古来、神に供えたりお祓いに使ったりされてきました。
榊の葉やこれから成長する新芽は、生命力の象徴です。
榊の新芽に願いを込め、その願いが育って(発達して)、いつか実を結ぶよう祈願した上で、大切にお持ちください。
「初辰まいり」二番まいり:楠珺社と「招福猫」
楠珺社の御祈祷
なんくんしゃでは、初辰日以外も御祈祷をお願いできますが、ご紹介した通り、通常は個人で申し込むものなので、初穂料(祈祷料)が5,000円~10,000円ほどとなります。
それに比べて、初辰日の御祈祷は集団祈祷ですので、なんと1,500円で受けられます。
初辰まいりをする上で必須というわけではありませんが、楠珺社は「はったつさん」とも呼ばれて初辰まいりの中心とも言うべきお社ですので、ぜひ一度は、御祈祷を受けてみてください。
また、上述の「みのりまいり交換所」の隣には、年間祈祷の申込所があり、毎月の御祈祷の申込みもできます。
毎月出かけられないという方は、ここで20,000円を納めて申し込んでおくと、1年間にわたり毎月初辰日に祈祷していただけ、お下がりも郵送されます。

楠珺社の「招福猫」
楠珺社では、猫が神の使いとされており、「招福猫」という名物の縁起物があります。
招福猫のご利益・初穂料(値段)・授与日など
楠珺社の招福猫はいわゆる招き猫ですが、右手を上げている招福猫と、左手を上げている招福猫がいます。
毎月の初辰まいりでは、奇数月は左手を上げている方を、偶数月は右手を上げている方を授かることになっています。
左手を上げた招福猫は家内安全・人招き・身体健康の、右手を上げた招福猫は商売繁盛・お金招き・開運招福のご利益があるとされています。
毎月欠かさず通えば1年で12体、4年で48体となります。
48体揃うと、満願成就の証として、楠珺社にお納めします。
- 招福猫の初穂料(値段):1体500円
- 招福猫の授与日:毎日
※招福猫は、初辰日に授かるのが良いとされていますが、楠珺社の授与所で毎日授与されています。
したがって、初辰の日にお参りできない月は、別の日に行って授かっても、同じ方の手を上げた招福猫がいただけますので、1年で12体揃います。
楠珺社の「招福猫」の集め方~満願成就までの道のり~
【1~4年目】48体揃ったら「中猫」を授かる
この招福猫は手のひらサイズの小さなもの(小猫)ですが、48体揃って納めると、代わりに一回り大きな招福猫(中猫)が1体授与されます。
48は「しじゅうはち」と読んで「始終発達」にかけているとご紹介しましたが、願いの発達と共に、招福猫も発達(成長)するわけです。
そしてその月からは、小猫をまた1体目から集める「初辰まいり2周目」が始まります。
【5年目から12年目】「中猫」を2体揃えて「大猫」を授かる
次の4年が無事に過ぎ、小猫が48体集まったら、また楠珺社に奉納します。
そして、最初の4年と同じく、中猫を1体を授かります。
4年前に授かった中猫とは反対の手を上げている中猫を授かると、ペアになります。
ここまでで、初辰まいりを始めてから、どんなに順調でも8年が経過しています。
9年目は、家に中猫2体を祀った状態で、また小猫を集め始めます。
そして9、10、11、12年目を経て、中猫2体、小猫48体となったら、合計50体の招福猫すべてを楠珺社に納めます。
すると、今度はさらに大きな招福猫(大猫)が授与されます。
【13年目から24年目】楠珺社の初辰まいり「真の満願」とは
13年目からは、なんとまた1年目から12年目と同じ流れを繰り返し、中猫2体と小猫48体を奉納します。
その際に、12年前に授かった大猫とは反対の手を挙げた大猫を1対授かり、左手を上げた大猫と、右手を上げた大猫が揃ったら、最終的な「満願成就」となります。
そう、4年で48体の招福猫をそろえて奉納した時点で一応の満願成就とされていますが、楠珺社の初辰まいりは、本当は24年間続くのです。
4年かけて小猫を48体揃えるだけでもすごいことですが、それが24年ともなると生半可な覚悟ではできません。
私たちは、願いの発達を祈願するために「はったつさん」こと楠珺社に通いますが、それを何年も繰り返していくうちに、神に願いが聞き届けられるだけでなく、自分自身も、確実に発達(成長)していくのです。
≪まとめ≫招福猫を集めて24年で満願成就するまでの流れ
1年目:招福猫(小猫)を毎月拝受し12体集める
2年目~4年目:1年目と同じように招福猫(小猫)を毎月拝受し1年で12体、満4年で48体集める
→48体の招福猫(小猫)を楠珺社に奉納し、招福猫(中猫)を1体授かる
5年目~8年目:1年目~4年目と同じように招福猫(小猫)を毎月拝受し1年で12体、満4年で48体集める
→48体の招福猫(小猫)を楠珺社に奉納し、招福猫(中猫)を1体授かる(自宅に中猫が2体)
9年目~12年目:1年目~4年目と同じように招福猫(小猫)を毎月拝受し1年で12体、満4年で48体集める
→48体の招福猫(小猫)と2体の招福猫(中猫)を楠珺社に奉納し、招福猫(大猫)を1体授かる
13年目~24年目:1年目~12年目と同じように招福猫(小猫)を毎月拝受し、4年ごとに楠珺社に奉納。12年で招福猫(大猫)を1体授かる
→招福猫(大猫)2体が揃ったら奉納・「満願成就」!!!
※ここまでで奉納した招福猫の数:小猫288体、中猫4体、大猫2体※
招福猫の飾り方(祀り方)
家に持ち帰った招福猫は、玄関や居間などにお祀りします。
神棚など特別な場所でなくても構いませんが、最終的に48体集めることを目標とする場合は、ある程度のスペースを確保しておく必要があります。
また、招福猫は土人形ですから、高い所から堅い床に落ちたりする危険がないよう、平らで安定した場所がおすすめです。
初辰の日の楠珺社社殿付近では、招福猫の座布団も、サイズ別に販売されています。
【豆知識】招福猫の裃姿の由来
一般的な招き猫は、首に鈴を付けているくらいで、特に服は着ていません。

一方、住吉大社・楠珺社の招福猫は、裃(かみしも)姿です。
裃とは、上半身に着る肩衣(かたぎぬ)と呼ばれる部分と袴(はかま)を組み合わせた衣装で、特に江戸時代の武家の間で用いられていました。
裃の多くは、肩衣と袴を同じ生地で仕立てられますが、招福猫が着ている裃は、肩衣が水色地に白の水玉模様で、袴が明るい茶色の無地になっています。
さて、そんな招福猫の裃姿については、以下のような話が伝えられています。
江戸時代、大阪で唯一幕府の公認だった遊郭「新町遊郭」で知られる新町(現在の大阪市西区)には、明治時代まで、「本荘席」というお店がありました。
その主人であった本荘五郎兵衛は、若いころから住吉大社を厚く崇敬し、毎月卯の日には欠かさず参拝していました。
(住吉大社の創建は「神功皇后摂政11年(211年)辛卯年卯月上の卯日」とされており、卯(ウサギ)が神の使いとされています。)
周辺では、いつ頃からか、特に遊離で開運招福を祈り、店頭や神棚に招き猫を祀るようになっていたため、本荘席の五郎兵衛も、住吉大社で売っていた招き猫を買って帰りました。
後に、家族や芸妓(げいぎ:芸者・芸子)らも買ってきたため、棚の上が大小の招き猫であふれ、その数はなんと2000余りとなりました。
それが評判となって、本荘席の招き猫は本荘猫と呼ばれるようになり、しだいに本荘席の習慣が世間に広まって、卯の日の翌日の初辰日に楠珺社にお参りして、商売繁盛を祈願し、招き猫を受けて帰るという習慣が定着しました。
住吉大社に熱心に詣でた芸妓たちが、「早く一人前になって独立し、羽織を着るようになりたい」という願いを託し、招き猫に羽織を着せたり、裃を付けたりしたのが、現在の招福猫の裃姿の由来と言われています。

「初辰まいり」四番まいり:大歳社と「大歳守」
三番まいりの浅澤社は、初辰日だからといって特別なことがあるわけではありません。
浅澤社関連の御祈祷は、通常は楠珺社、初辰日は大歳社で受け付けています。
さて、最後に参拝する大歳社では、楠珺社でいただいた稲穂を御神米に交換する以外に、どのようなことができるのでしょうか?
大歳社の御祈祷と「おもかる石」
大歳社では、初辰日に限り、浅澤社・大歳社の御祈祷を行っています。
社殿(拝殿)前の仮設テントが申込書となっています。
初穂料(祈祷料)は、1,000円です。
大歳社で祈祷を申し込むと、大歳守という小石のお守りが授与されます。
この大歳守も、楠珺社の招福猫と同様に、48体で「満願成就」となり、「満願守」と交換してもらえます。
画像引用元:住吉大社
※以前は祈祷のお下がりとして、乾燥わかめと大歳守が授与されていましたが、現在はお守りのみとなています。
大歳社「おいとしぼし社」のおもかる石
大歳社の社殿の向かって右奥には、おいとしぼし社という小さなお社があり、その祠の手前には、「おもかる石」と呼ばれる石が3つ並んでいます。
石を持ち上げてみて、2回目に「軽くなった」と感じれば願い事が叶う、「重くなった」と感じれば「努力が必要(または不可)」という意味と言われ、普段から人気のパワースポットですが、初辰まいりの日には、行列ができるほど混雑します。
初辰まいり4社を巡ったしめくくりに、願い事の行方を占ってみてはいかがでしょうか。
おもかる石で願い事が叶うかどうかを占う方法や大歳社・おいとしぼし社の歴史(由来)などについては、当サイト住吉大社・末社「大歳社」【初辰まいり巡拝社】でご紹介しています。
初辰まいりのお供え
初辰まいりの日には、種貸社、楠珺社、大歳社それぞれで、お供えを受け付けています。
お供え物は、お酒や現金が一般的です。各社頭でお申し込みください。
- お供え受付日時:毎月初辰日、6時30分頃~15時30分
初辰大祭のお供え
5月の初辰日は、楠珺社の例祭日です。
この日に向けたお供えは、2か月前から申し込めます。
各社に掲げられた奉納幟(のぼり)は、この大祭に合わせて取り替えられます。
申し込みは、初辰まいり各社でどうぞ。
- 幟の初穂料:初回は1万円
正月のお供え
正月に向けたお供えも、2か月前から申し込めます。
各社に掲げられた奉納提灯は、正月に合わせて取り替えられます。
申し込みは、初辰まいり各社でどうぞ。
- 提灯の初穂料:1万円~
※提灯の数には限りがあります。お早めにお申し込みください。
初辰まいりの混雑状況・所要時間
初辰まいりは、なんと朝6時に受付が始まります!
8時くらいまでに行けば、どのお社でもそれほど並ばず、御祈祷もその回に受けられます。
8時を過ぎる頃から混雑し始め、各社の祈祷受付に長蛇の列ができます。
通常は、10時~12時頃が、最も混雑します。
各社参拝の所要時間目安
御祈祷の所要時間は1回10分~15分程度です。
早朝または午後の受付終了時刻前の混雑していない時なら、祈祷申込みに10分、祈祷に10分~15分、合計20分~30分程度です。
集団祈祷なので、社殿に入れればこれから始まる回に参加できますが、定員オーバーになると1回分待つことになります。
朝8時を過ぎて祈祷受付に行列ができるような場合には、祈祷の申込み(申込書記入から提出まで)で15分~20分、御祈祷を1回分見送るためにまた10分~15分、そして祈祷に参加して10分~15分、合計で50分前後かかる可能性があります。
時間には余裕を持ってお出かけください。
※御祈祷が満席の場合、スペースがあれば、社殿内に立って祈祷を受けることもできます。
初辰まいり当日の境内の様子(出店・屋台など)
初辰まいりの日の住吉大社は、お祭りムードになっています。
食べ物の屋台も・・
おもちゃの屋台も・・
農産品の販売ブースもあります・・!
手芸・工芸品も売られていました・・
表参道を始め、境内の各所では、早朝から出店の準備がスタートし、9時~10時頃には続々とオープンします。
のんびりと4社を巡って初辰まいりをしながら、普段は見られない出店の数々にも立ち寄ってみてください!
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